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騎士様は私のボディーガード

第14章 騎士様、私の両親を紹介します

「何もなかったから大丈夫だよ」



また口が勝手に動く。



違うのにっ……
本当のことを話したいのに、言えない……!



「そうか……」



シリウスは納得していない、微妙な顔をしている。



「美桜さん……あなたが無事で本当に良かったです。僅かでもあなたから目を離してしまったこと、後悔しています……廃墟マニアの男を甘く見ていました」



朝比奈さんが申し訳なさそうな顔をして、私に頭を下げる。



「そんなっ……大丈夫ですよ、私はこうして戻ってこれたし、頭を上げてください、朝比奈さん」



あれ?
朝比奈さんには普通に話せる。



「あの……お父さんは?」



キョロキョロと周りを見ると、その廃墟マニアの男の姿もなかった。



「秋山さんはあなたが連れ去られた時に転倒して、そのまま意識を失いました」

「えっ!?」

「安心してください、さっき近くの病院に連れて行ったところです。今は点滴をして回復に向かっています」

「良かったっ……」



じゃあ私は鏡の中に、けっこう長い間閉じ込められてたんだね……
あのどこまでも続く暗闇は、思い出すだけでゾッとする。




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