テキストサイズ

騎士様は私のボディーガード

第14章 騎士様、私の両親を紹介します

「美桜さん、気をつけてください。今どこからか、殺気が……!」



電話はプライベートなものだからと、私から少し距離を置いて立っていた朝比奈さんが、辺りをしきりに警戒する。



「どうしよう、朝比奈さん! また私の口が勝手に動いて、シリウスと別れるなんて言っちゃったんです……!」

「美桜さん、落ち着いて。大丈夫です、少しずつ誤解を解いていきましょう」

「それに……お父さんのことまで言っちゃって、今からお母さんがこっちに来るんです!」

「!」

「どうしよう……お父さんにまで迷惑かけちゃって、私っ……」

「大丈夫ですよ、美桜さん。離婚したとはいえ、元は夫婦ですよ。そこは二人とも、大人の対応をするでしょう」

「……っ……」



そうだよね……お父さんがこんな状態だと知れば、少しはお母さんも優しく──。




***



「ホームレスですって!?」



一時間後、酒井さんの運転で病院に来たお母さんは、お父さんの姿を見ると驚愕した。



「お母さん、まだお父さん寝てるから静かにしてっ……」



ここまでの経緯を話すと、お母さんは険しい表情をしたまま黙ってしまった。



「美桜……今日は私がこの人を見てるから、あなたは実家に帰りなさい」

「えっ……」

「ここからアパートに戻るより、実家に帰った方が近いでしょ。送り迎えは酒井くんに任せるから」



そんなっ……!!



ストーリーメニュー

TOPTOPへ