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お話の続きは異世界で

第12章 川のほとりで語らえば

眼鏡を指先で押し上げながら、淡々と言われた。

その時は分かってもらえなかったのが悔しくて

『はあ!?訳わかんないし!』

って怒ってしまったんだけど…

「そういう奴なんだよ」

ウサギの声に、我に返った。

あれは佐藤くんなりの助言だったんだ。

確かにそれじゃダメだ。

「カエルは悪くない。私がダメだったんだよ」

してもらうからにはリスクもある。

人にしてもらうばかりで、文句ばっか言ってたらダメだ。

今なら佐藤くんに『ごめん』と『ありがとう』って素直に言えるのにな…

想い出を悔やんで口元を引き締める…と

「そう?ならいいんだよ?」

やけにあっさりと話を打ち切って、ウサギはピョンと高く跳び上がった。

「お前!逃げんな!!」

「心外だな。助けてあげようとしてるのに」

引き止めるカエルに、手の届かない高さで浮き上がったまま答えると

「音、気付かない?」

ウサギはそう言って、耳に手を当てた。

音?

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