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お話の続きは異世界で

第15章 賑やかな町を彩って

さっきは勝手に停めるなって言ったのに。

さっきと態度違いすぎじゃない?

女の子のあまりの変わり様に、怒るよりも呆れてしまう。

そんな私の心境に気付きもしないで、舟から降りるのにも、手を差し出して労いの言葉をかけてくれる。

「長旅お疲れさまでした~!」

「長旅…田舎って言ってたもんね」

あえて手を取らずに嫌味っぽく返せば、女の子は一瞬真顔になった。

でもすぐに笑みを浮かべると

「お客様ったら!冗談ですよぉ!」

クスクスと笑みをこぼすその仕草は可愛らしくて…

小悪魔、って言葉がピッタリだと思った。

もう惑わされないぞ!

心に誓うと、隣でカエルがウンザリしたように呟いた。

「ネェちゃんと同じだな…」

「え?」

「同じニオイがする」

パンダウサギさんと?

ニオイって言われてもよく分からない。

首を傾げれば、カエルはチケットを指に挟んで

「権力者に弱ぇところとか…そっくりだよ」

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