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お話の続きは異世界で

第2章 異世界へ飛ばされて

「母が病でな。日中は特に問題はないのだが、日が暮れると高熱を出す」

「それは…心配ですね」

「ああ。だが翌日、陽が登れば熱は下がる。医者は気に病むことはないと言った。日中の疲れが夜に出るのだろうと」

「あ…そうですか…」

お医者さんの診断がそうなら、そのうち良くなるのかも。

単純にそう思ったのに

「だが、毎日夜になると不調を訴える母を見て、何かせねばならぬとは思った!」

握りこぶしを岩にぶつける姿に、信さんの苦しさが伝わってきた。

「それで薬草を?」

「あの山の奥に、解熱に効く薬草があると聞いた。それを取りに行こうと思っているのだ」

信さんは鼻の下を手でこすって鼻水をぬぐうと、息を大きく吐いて気合いを入れた。

お母さんの事が心配なんだろうな。

大人なのに泣いちゃうなんて、マザコンっぽくて引きそうになるけど…心配なのは分かる。

「所で、渡り人は神の使いだと言うたな?」

「あ…うん」

さっき、そんな事言ってたよね?

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