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お話の続きは異世界で

第16章 運命の出逢いを果たしたら

棚に目を走らせるけど…やっぱりどれがいいのか分からなくなる。

「オメェさん、とりあえず適当に選びやがれ」

カエルがそう囁くけど…

目の前の人形に手を伸ばしかけたら

「本当にそれかい?」

男の人に言われて…手を引っ込めた。

『本当に』とか言われると躊躇してしまう。

特に、さっきのワゴンの人形を見てしまうと――

『選ぶ』なんて、本当にしていいの?

だとしたら――どの人形を…?

別の棚を見ていくと、さっきより親近感の湧く人形がたくさんあった。

黒髪で黒い瞳で、ベージュの肌。

日本人寄りの人形だから?

そこをじっくり見ていくと――

「…え?」

1体の人形に目が止まったまま…動けなくなる。

「どうしたんでぇ?」

カエルがキョトンと訊いてきた。

黒髪に黒い瞳。

深緑色のジャケットに、薄水色のカッターシャツと濃灰色のパンツ。

うちの学校の制服そのものの組み合わせ。

それを着て、黒ぶちの眼鏡をかけた人形がそこにいた。

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