テキストサイズ

お話の続きは異世界で

第16章 運命の出逢いを果たしたら

それは作りかけと言うより、これから人形になる『材料』のような形をしていた。

「その子が?」

女の子の驚いた声に、慌てて異を唱える。

「違う!間違えたの!!この子じゃなくて」

私が選んだのは、佐藤くんに似たあの人形で…

そう言おうと、人形のあった場所を指差す…けど

「あ……」

そこは壁になっていた。

近寄ってじっくりと見てみても、壁に継ぎ目も何もない。

「佐藤くん…どこ…?」

壁を手のひらで叩いて呼び掛ける。

だけど手の感触は

それは壁だ。それもコンクリートのように硬く頑丈で、簡単に壊れるものじゃない

って伝えてくる。

何度も繰り返すうちに、私の手の方が痛くなってきた。

「もう無理でぇ。諦めるしかねー」

カエルが私の手を掴んで、叩くのを無理やり止めさせる。

「そんな…こんな事って、ない…」

叩いていた手を握り締めて…悔やむ言葉しか出てこない。

そんな私に、カエルは何も言わない。

ただ黙って、手を掴んでいるだけ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ