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お話の続きは異世界で

第3章 薬草探しの途中で

楽しみ!?

「楽しみって…!」

アンタの道楽のために、私はこんな目にあわされてるのに!

「私が何をしたって言うのよ!」

「『した』んじゃなくて。これから『する』んですよ?」

ウサギはそう言うと、耳をピンと真っ直ぐに立てた。

「するって、何を…」

「シィッ!」

聞き返した途端、人差し指を自分の口元で立てて『静かに』とジェスチャーする。

器用だわ。

どう見てもウサギの、もふもふした短い指なのに。

こんな状況なのに、その姿に感心してしまう。

するとウサギはピョンと高く跳ねた。

「厄介なのが現れた」

そう呟くと、私に「では、また」と別れを告げた。

タキシードの裾がひらんと揺れる。

そのままウサギは空へと飛び立っていった。

「……は?」

唐突な別れに、反応が遅れてしまう。

「ちょっと待ちなさいよ!」

ウサギに呼び掛けても、その姿は遠ざかっていく。

多分、私の声も聞こえてないだろう。

何なのよ!

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