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お話の続きは異世界で

第1章 佐藤くんの小説を読んだら

「完成してないもんは読まれたくない」

それは…分からなくもない。

考えが行き詰まってる時なら、なおさらそうだろうと思う。

だけどここで退いたら、完全にお蔵入りするつもりでしょう!?

一旦退いた手をもう一度広げて、佐藤くんの前に突き出す。

「じゃあ、次期部長命令」

「は?」

「他の人が読んだら、改善点教えてあげられるかもよ?」

とにかく佐藤くんに書いて欲しい。

それだけを願ってそんな提案をしてみたけど

「改善点、か…」

佐藤くんはそう呟くと、眉をきゅっと寄せた。

「それで直したら…」

「ん?」

何て言ったか聞き取れなくて。

つい聞き返してしまったら、佐藤くんははっと我に返ったように息を飲んで

「……いや、いい」

首を振ったあと、目を閉じてしまった。

え?

これってどういう事?

話しかけるなって意思の表れ?

佐藤くんの扱いに困って、私もしかめ面を浮かべてしまうと…

佐藤くんがノートをポンと投げてきた!

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