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お話の続きは異世界で

第1章 佐藤くんの小説を読んだら

シルクハットに片手を添えて、軽く頭を下げる。

頭の上にちょこんと乗ったシルクハット。

その両横から伸びた耳が、ピルンと動く。

耳…白くて長い耳…

ウサギだ。

服を着た、めっちゃデカいウサギが、窓を乗り越えて部屋に入ってきた!!

「あ、あ、あのっ!」

人間、あまりにも驚くと叫び声なんか出ないんだ。

どもりながら椅子から飛び降りて、ウサギと対峙する。

目の前のウサギは、身長157cmの私とさほど変わらない。

顔もちっちゃいし、全身が白い毛で覆われていてもふもふしている。

タキシードを着こなしている姿はとても洒落ていて、めっちゃ足が長い。

ウサギなのに私より腰の位置が高い!

ウサギなのにだ!!

このスタイルはどういうことなんだ!?

ウサギをねめつけていると、奴はもふもふした頬を上げて

「あまりにも月が綺麗なので、散歩をしていました」

笑っているんだろうか?

ウサギの笑ってる姿なんか見たことないから分かんない。

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