テキストサイズ

お話の続きは異世界で

第8章 計算できないサムライと

「オイラの吸盤があれば、登るなんてのはわけない」

「やった!」

両手を打ち鳴らして喜ぶと、カエルはピョンと岩肌に飛び付いた。

そのまま、ペタペタ音を立てて壁を登っていく。

「早っ!」

「あらら。ケロちゃん張り切ってるぅ~」

パンダウサギさんがウフフッと色気たっぷりに笑う。

私達が見上げる中、カエルは難なく花に辿り着いて、こちらを振り向くと

「それで!?何本いるんでぃ?」

その声に導かれるように、私とパンダウサギさんの視線が信さんに注がれる。

「な、何本とは?」

「え?あの花がどれくらい必要なのか、って話じゃない?」

「何本…」

そう呟いて、口元に手を当てて考え出すから、パンダウサギさんが首を傾げた。

「んん?薬に使うんでしょぉ?」

「薬を作るのに、どれくらい必要なの?」

2人に詰め寄られて、信さんはジリッと後ずさると

「いや、ワシはあの草がいると薬師に聞いて…分量は知らんのだ」

「はい!?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ