先生、俺が教えてあげる。キスも全部
第3章 最悪な補習時間
今までの行動を見透かしているかのように言う佐伯にドクンッと心臓が鳴り響く。
確かになるべく…話さないようにはしていた。
話したら絶対…お前が迫ってくるの分かっていたから。
あれだけの宣言をしてきたんだ。応える気はさらさら無いから自衛するに決まってる。
しかも…教師と生徒で男同士で…。
「…そんなこと…ない…」
「あるよ。だって俺が好きって言ったあのテスト以来、俺とは話さないようにしていたでしょ?」
「っ…!気の所為だろ。今だってちゃんとこうして話して…」
「あのさ、ちゃんと話してるって言うなら目を逸らさないで話してよ。」
指摘されて教科書のページを捲る指先がピクリと小さく震える。
クソっ…何で…こうなるんだよ…っ…
俺はほぼヤケクソで教科書から目線を佐伯に移す。
「これでいいか?」
そう言うと佐伯は口元を緩めて…
「うん、いいよ。そのまま…逸らさないでね?これから質問していくから。」
「っ…やっぱりそれやるのかよ…。」
「やるよ。約束したじゃん。」
はぁと軽く息を吐き、俺は質問は何?と託すように教科書を閉じて体を佐伯に向けた。
それを合図に佐伯は口を開く。
「先生ってさ、本当は恋愛あんまりした事ないでしょ?」