先生、俺が教えてあげる。キスも全部
第3章 最悪な補習時間
「っ…ぷはっ…お前っ…!」
教室の床に座り込み、服の袖で口元を拭って佐伯を睨み付ける。
「ん〜?なに?もうキブ?てか、先生ってキスした事あるって言ってたけど本当は無いでしょ?」
「っ〜〜!だからっ…お前には関係なっ…」
「あるよ。」
真剣に低い声色で言う佐伯に俺は「は?」となりながら次の言葉を待っていると佐伯は俺の前にしゃがみ込み言う。
「もしキスがめちゃくちゃ上手かったらそれを教えたヤツがいるってことでしょ?そんなの俺、腹立つからさ。初めてなら俺が色々教えてあげられる楽しみがあるし。」
「!…何でお前なんかにっ…てか誰も初めてなんて言ってない。」
「いや、先生は初めてだよ。舌の動き慣れてない感じだったし息の仕方も手慣れてるって感じしなかった。少なくともディープしたの俺が初でしょ?」
得意げに言う佐伯に内心イラッとはしたが事実ディープに関しては初めてだから言う言葉が無い。
舌使いって…まあキスしてみて佐伯は相当慣れてるし何人も女が居たんだなぁって改めて感じた。
遊び人…か?案外…。
そんなことを頭で考えていると佐伯はクスッと笑って言葉を繋ぐ。
「図星…かな。反応が初々しいしそんな長いことキスしてないのに腰抜けちゃうなんて先生可愛い。」
「っ…うるさいっ。こんなことして何が楽しいんだ…」
そう口にすると佐伯は笑ってた顔が一変してムッとした顔付きになる。
「あのさ、まだ信じて貰えて無いわけ?」
「当たり前だろっ…しかも男同士で年齢も差があるし教師と生徒だ。簡単に信じる方がおかしい。」
「…はぁ。本当、先生って真面目。男同士だろうが教師と生徒だろうが年齢の差とか俺は関係無い。先生のこと好きだからキスしたし遊び半分で男同士とキスなんてする訳ねぇだろ。」
真っ直ぐとした瞳が俺を捕まえて一瞬息を飲む。
あの怠そうなやる気のない佐伯の面影はどこにも無い。
___ 本気の目。
そんな目線から俺は逃げたくて逸らすと佐伯は立ち上がり俺を見下ろしながら言った。
「先生、今は信じ無くていいよ。でも俺本気だから先生に伝わるようにこれから遠慮なく行くね?」