先生、俺が教えてあげる。キスも全部
第5章 人気者
「…は?」
「分からない部分とか…他にも色々、さ?」
ニッコリと笑みを浮かべ教壇の縁に腕をついて頬杖を付きながら言う佐伯にピシッと怒りマークが付く。
「〜〜佐〜伯〜っ、勉強の他に企みも含んでるだろ!?」
「えー?そんな事ないよ。ただ…1体1で教えて欲しいって言っただけ。何?意識でもしてる?」
挑発的な物言いに俺は言葉に詰まりながらも佐伯を軽く睨み負けじと言う。
「っ、意識なんかしてないっ…!なんか危ない気がするんだよっ…!」
「危ない?何が?勉強教えるだけだろ?」
「〜〜!と、とにかく絶対っっ…二人っきりでなんか勉強やらないからなっ!」
教科書を勢いよく持ち扉に向かって歩き出せば、佐伯はつまらなさそうに見つめ「そんなに嫌なのかよ…」と吐き捨てる。
あまりの寂しそうな声に少し足を止めてしまう。
「…佐伯?」
「…!なんでも。まあ二人っきりの授業はまたの機会にお願いするから。」
さっきの寂しそうな声とは裏腹にいつもの揶揄うような口調で言う佐伯。
それに再び俺は断りを入れる。
「それは無理!じゃあなっ…!」
それだけ言い放ち俺は教室を後にした。