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先生、俺が教えてあげる。キスも全部

第5章 人気者

何やかんやで午前中の授業が終わりを告げ、昼飯の時間。

職員室でコンビニで買ったおにぎりを口に運びながら目の前の書類に目を通す。

これといって大きなイベント事は無いし少しはゆっくりできるかな。

もぐもぐと咀嚼してお茶を飲んでいると、隣に誰かが椅子に座った。

ん…?

チラッと視線を向けるとそこには村瀬先生が口にパンを加えながら渋い顔をして小さく息を吐いた。

どうしたんだろう…?


「…村瀬先生?」

「ん…?んぐっ、あぁ…佐藤先生。お疲れさん。」

「どうかしたんですか?…しかもそこ雪村先生の席ですけど…」


そう言うと村瀬先生は困ったような呆れたような顔になり、スっと紙袋を手に下げ俺に見せながら言う。


「…雪村先生の昼飯。頼まれてたから買ってきたんだけど…恐らく抜け出せねぇんだろうなぁ。」

「??…抜け出せないって…どういう…?」

「あー…知ってると思うけどこの昼休憩の時間、保健室にたくさんの生徒が来るんだよ。」


…あー…確かに俺も保健室通った時凄い女子生徒達が占領してたもんなぁ。

へ…まさかそれで…、、


「…その所為で昼食食べれないって事ですか?」

「その通り。ある程度はしっかり断って線を引けって言ってるんだけど…出来ねぇんだよなぁ。雪村先生。」


凄すぎる…何なんだ…この学校は…。


「この時間になっても来ねぇってことは出れてない証拠だ。はぁ、昼飯届けてやりてぇけど俺もこの後やらなきゃならないヤツあるんだよなぁ〜…」

「…じゃあ、俺が行ってきますよ。」


席を立ち村瀬先生にそう告げると、え?って顔をされる。


「…いや、お前まだ飯食って…」

「もう食べ終わりましたよ。だから任せてください。」


手を出して言うと村瀬先生は苦笑いしながら「…悪いな」と言って俺に袋を差し出した。

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