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がーるず・らぶ2 ラブ・スイッチ

第1章 恋愛のスイッチ


「……それはそうと……杏奈ちゃん、大丈夫?」

 キラキラした眼差しを向けたまま、雫が私の右手を彼女の両手でしっかり握りながらじ〜〜…っと見つめてくる。


「……まだ頭は痛むけど……多分大丈夫」
「うん、そっちもだけど出勤時間。送迎バスはもう出ちゃってるから、あとはタクシーで行くしか無いけど……」


 言われて腕時計を見ると…もうすぐ8時……
今からタクシーで向かえば、8時半開始の朝礼にギリッギリで間に合わなくはないこともないけど・・・

……正直、もはや出勤する気分ではない。


 とりあえず、運んでくれて付き合わせてしまった駅員さんに丁寧にお礼を言ってから、私達は改札を出た。


「有給沢山残って……って言うほどもないけど、今日は有給使って休んじゃおっかな?今から連絡すれば、まだ間に合うもんね?」

…基本、緊急で当日に休む場合、有休扱いしてもらうには三十分前までに連絡すればいいと聞いている。
 時間が無いので、素早くスマホを取り出した私は迷わず会社の事務所へ連絡をした。
すぐ隣ではすでに電話している雫がいて、倒れた私に付き添いで病院へ行くと話している。

(……流石は雫……こういう時の行動は早いわねぇ……)

 私も雫に習って倒れて頭をぶつけたから、駅員さんを安心させるために病院で検査すると伝えたらすんなり有給処理が受諾された。
 こういう時は真面目に仕事している私達は、信用してもらえるんだなってしみじみ思う。


……実は私達は二人共派遣社員だ。

 だから、周りのアルバイトと同じような扱いを受けやすく、なおかつ社員さんと同じ仕事をやっているというビミョーな立ち位置にいて。

 正直仕事は楽しくは無かったが、すぐ休む、無断欠勤する事が多いアルバイトの皆さんと一緒に見られたくないからと、真面目に働いてきたのだ。

硬い話はこのくらいにして。


 兎に角、私達は簡単な検査を受けに近くの病院へ行き、運良く空いていたのでスムーズに診てもらえた。



時間はまだまだ午前中・・・。

このあと、どうしようか、なぁ〜♫



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