がーるず・らぶ2 ラブ・スイッチ
第1章 恋愛のスイッチ
30分後・・・
穴太(あのう)駅まで戻り、雫を駅で待たせたまま猛ダッシュで自転車を漕ぐ私……。
朝、貧血で倒れたことをミジンコの毛ほども感じさせないスピードで自宅へ戻った私は、これまたフルスピードでキッチンの脇にあるカギ置き場からマイ自動車、ワゴンR…モドキのAZワゴンのキーをふんだくるようにひっ掴み、消防隊員もびっくりするような素早さで車へ乗り込むと、颯爽と車を穴太駅まで走らせた。
「お待たせ☆」
「杏奈ちゃん、早っ!あれから10分経ってないよ?」
……任せなさい!伊達に元陸上部じゃないんだからね!
……私の専門は、持久走だけども(笑)
「じゃあ、何処に行きたいですか?お姫様?」
私が雫姫に丁寧な会話を投げ掛ければ
「……そうじゃのぉ〜…在り来たりかも知れぬが、妾は海が見たくなったぞよ?」
…と、彼女は当たり前のように取って返してくれる。
なにしろ、小学生の時から何をするにもいつも一緒だったんだから、お互いの事は大概理解している。
……他に友達がいない訳じゃない。
彼氏がいない歴が、同じ訳でもない。
それでも、私になにかあれば、必ず隣には雫がいてくれて。
彼女が何かあった時は、必ず隣には私が居て…
こんなに気が合って、何でも話せる友達は……
やっぱり彼女だけだった。
「了解しましたっ!それではこれより我が艦は太平洋へ進路を取ります!
姫、ご命令を…」
「うむ。それではこれより、エーゼット号は三河湾沿岸に向かい、哨戒任務を行う。途中、道の駅やコンビニなどで補給を行いながら、フタサンマルマル(23時)までに帰投する。質問はあるかね?安堂艦長」
「それでは、ひとつだけよろしいですか?」
「うむ。よきにはからえ」
「では、お言葉に甘えさせて頂きます。
……なんで戦艦に姫様が乗ってるんでしょうか?」
「うむ。良い質問じゃな。それは……」
「……それは?」
「ああ〜ん!もう、ギブっ!まさかそこまで設定追求してくるなんて、雫が考えられるわけないでしょ〜?!」
「いや、ほら。雫は趣味で小説書いてるからさあ……なんか、いいネタができてるんじゃないかな〜って、期待した☆」
…こんな感じで、いつもはしゃいでいるんだよね〜…私達。