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狂愛の巣窟

第4章 【意のままに踊らされて…】






俺がする、と下着や服まで着せてくれて何度も何度もキスをしてくる。
唇がふやけちゃうわ。
はぁ〜と溜め息混じりに抱き締められて。




「どうしよう、離れたくない、十和子さんが好き過ぎておかしくなりそう」




「大学に可愛い子たくさん居るでしょ?」




「居ないよ、十和子さんが一番綺麗に見える」




「ねぇ、私34よ?比べないでよ、流石に勝ち目ないわ」




「全然興味ない、俺は十和子さんだけ」




「どの口が言ってるの」




「お互い様だよ」




顔を見合わせて笑った。
そうね、私も一人には絞れない。
それをわかり合える人は少ない。
身体だけのセフレともまた違う。




「ねぇ、またシたい」




そう言って甘えてくるキミと時間の許す限り愛し合った。
またひとつ強い絆で結ばれたって思っても良いかな。
誰ひとり理解されなくて良いから、この手を離したくない。




誰にも邪魔されたくない。
2人だけの世界。




未来は与えてやれない世界。










「ママは享パパの何処が好き?」




夕飯の盛りつけをお願いした日のキッチンで娘の有紗が不意に聞いてきた。




「え〜どうしたの?急に……うーん、そうね、優しくて頼り甲斐があるとこ…かな」




「それが一番?他は?」




「えっと、顔も好き…声も好き……挙げたらキリないよ?全部好き」




「喧嘩とかしないんだ?」




「しないかなぁ……?あ、でも付き合いたての頃は何度かしたよ」




「へぇ、原因は何?」




「え、何だったっけ?多分些細な事で不安になったり…本音なんて最初は隠すから余計悪循環だったりね」




「別れようと思った事とかあるの?」




「え、何?彼とはそんな感じなの?」




知らないフリしてカマをかけてみる。
「違うよ、友達の話だってば」って嘘つく時に目が泳ぐ癖は昔からね。
有紗的に、苦しい恋を終わろうとしているのかしら。




相手が義理の兄でも?
それほど好きな気持ちはないのかも…と少し気持ちが軽くなる私は母親失格です。








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