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狂愛の巣窟

第4章 【意のままに踊らされて…】






夕食後のお風呂で急に浴室に入って来た有紗に驚いた。
何か言いたそうだったので快く受け入れる。
久しぶりに一緒に洗って同じバスタブに浸かる。




「ママ、驚かないで聞いて欲しいんだけど…」と前置きしてきたからついにキタと緊張感が走る。




「私……お兄ちゃんが好きみたい」




小さな声で告白してくれました。
私もトーンを下げて答えます。




「一颯くんの事?そうなの?」




「うん……良いかな?血は繋がってないからOK…だよね?」




「そうね、うん、世間的には結婚も認められるし有紗が本気で想うならママは何も言わないよ、本人には伝えたの?」




「まだ……フラレたら怖い」




顔を真っ赤にして真剣に悩んでいる娘にどんな言葉をかければ良いの。
フラレても同じひとつ屋根の下暮らしていかなきゃならない。
そうなれば一颯くんが出て行く可能性も。




「でも享パパとママ見てたら言いたいって気持ちが日に日に強くなって……もしフラレたらママ…私……」




湯船の中で思わず抱き締める。
肩を擦り「ママはいつも有紗の味方よ」と口が滑るのです。
嘘つき……そう娘に罵られるかも知れません。
涙ぐむ姿を見てやっぱり本気で好きなんだと思い知る。




お風呂から上がるとリビングでテレビを観ながら笑ってる一颯くんに有紗は向かって行った。




「お兄ちゃん、数学教えて?」




「え?あぁ、うん…部屋行くか?」




「うん、じゃあママ、部屋で勉強してくるね?」とわざわざ私に言ってくるのは告白するという意味合いなのか。
「あまり無理しちゃダメよ」くらいしか声を掛けられない。
2人が上がった後も何だかソワソワして落ち着かないで居た。




今夜、享さんは遅くなる日だ。
わざとこの日を選んだというならなかなかの用意周到さ。




勉強……してるとは思えない。




一颯くんはどうやって応えるのだろう。
部屋の前を通っても静かで物音ひとつ聴こえない。
たまに聴こえてくるのは一颯くんの教えてる声。



そうよね、もう有紗を抱いたりしないでしょう?
それともまた、私に聴こえるように喘がせるの?
嫉妬心をえぐるの?








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