狂愛の巣窟
第5章 【隣人に魅せられて…】
一部始終を見ていた私は事もあろうか奥さまと代わりたい……どんな罵声を浴びているのだろう、同じように……いいえ、それ以上に旦那さんに虐げられたい想いが日に日に募っていきました。
こんな公開セックス、奥さまも了承した上でやられているのだろうか。
目隠ししてる日もあればそうでない日もあった。
カタカタカタ…と雨戸を開ける音。
いつしか待つようにもなったしそっと隠れて覗き見る。
変な日課にも突然、終わりは来るのです。
コツン……コツン……と小さな石でしょうか。
旦那さんが窓に当ててきている。
躊躇しましたがゆっくりカーテンを半分開いてみました。
窓越しに再び目が合った私たち。
何か言ってるようなのでこちらも窓を開けます。
小さな声でたった一言。
それはあまりにも待ちわびた言葉でした。
「おいで」
心底疼きました。
ですが、奥さまの存在が理性に引っ掛かる。
「大丈夫、ひとりですから」
全てを見透かしたような優しい声が髄液まで溶かしそう。
気が付けば走り出していました。
鍵だけ閉めてこの身ひとつでインターホンを押す。
まるで何かに操られているようです。
待てない自分が焦りを越えてあなたへと行き着く。
禁断の扉が開かれた瞬間。
理性も他人の目もしがらみ全部取っ払って大きな罪でさえ縛り付けてほしいほどに嘘偽りのない自分を曝け出してしまいました。
「おっと、急がないで、誰も邪魔しないところへ行きましょう」
思いきり胸に飛び込んだ私を受け止め優しく諭してくれる。
手を引かれ上った階段の先。
扉の前でもう一度あなたは確認する。
「本当に後悔しないでほしいので最後に聞かせてください」
「はい」
「今から僕が、人妻であるあなたをこの部屋に招き入れ愛してしまっても良いのでしょうか………おそらく、止まれないと思います……これほど美しいあなたを壊してしまいそうで怖くもあります」
「あなたを愛する事はありません、ただ……触れたい気持ちはあります……いいえ、壊されてみたいのかも」
フェアじゃなければならない。
だから決して弱みは見せない、晒さない。
それだけじゃダメなの……?