狂愛の巣窟
第6章 【禁忌を侵す者たちは…】
暗い車内でもう火照った瞳。
再び後頭部から引き寄せられ重なる唇はさっきより激しい。
こんなの……もし誰かに見られてたら。
そう思うのに彼の舌に応えてしまう。
理性なんてあってないようなもの。
必死に耐えてくれた顔で
「ごめん、嫌だった?」って聞くのはあざとい。
嫌なわけないでしょ。
「デート、しないの?」
「うん、したい」
「え、どっち?」って笑う。
からかってるの?
甘えた顔してもう一度「したい」って、だからどっちの意味よ。
お互い笑い合って。
「デートしたい」とはっきり意思表示してくれました。
じゃ、此処から出るよ?
明るい道へ出て暫く車を走らせる。
チラチラと見てどうしたの?
そしたら携帯で撮られちゃった。
運転中なんて不意打ち過ぎ。
絶対真顔だった。
「可愛い」
「盗撮」
「ごめん」
「良いよ」
「何処行くの?」
「秘密」
早めのランチだったし時間的に大丈夫かな?って思って来てみたけど。
私に連れて来られてドキドキしてる…?
結構走って山奥へ。
「十和子さん、此処って…」
キョロキョロする一颯くんを横目に出迎えてくれた従業員の方に挨拶をする。
「予約した佐倉です」
「お待ちしておりました」
フロントでチェックインしたら部屋まで通されて唖然としてる。
こちらはカップル専用の個室で今人気のある日帰り旅館。
部屋に露天風呂付きでゆったり寛ぐも良し、旅館内には漫画喫茶や映画館、カラオケ等もあって遊びまくるも良し、なのだ。
「あ、ねぇ、ボルダリングとかもあるよ?射撃も!楽しそうじゃない?」
「本当だ、結構遊べるね?」
コラコラ、2人きりになるとすぐくっつきたがる。
お胸触るんじゃないよ。
すぐに手を退かせたらスリスリと顔を擦り寄せてきて抱きつく。
「十和子さん、此処も初めて?」
「え、そうだよ?こう見えてめちゃくちゃはしゃいでるんだけど」
「うん、可愛い」
そんな“初めて”にこだわるもんかね?
嬉しそうなのはこっちも嬉しくなるけど。
キュッとほっぺを両手で抓ってあげる。
「何をそんなに不安がってるのかな?」
「え………別に」