狂愛の巣窟
第7章 【再燃するココロとカラダ…】
「そっか、十和ちゃんが幸せなら俺はそれが一番嬉しい!」
太陽みたいに笑うんだね。
一通り回ってようやく母校を後にし、皆の集まる居酒屋へ向かった。
相変わらずお喋りで色んな同級生の近況なんかをベラベラと教えてくれて、もう本人たちに会う前に知ってしまっている状況だ。
こっそり「池田覚えてる?学級委員してた奴……ごっそりハゲてるから」と耳打ちされた直後に顔を合わせて吹き出すのを必死に我慢した。
隠れてケラケラ笑う岸くんに「もう!」と叱りつけたら皆にも「変わらないね」と2人の関係性について言われた。
私だけじゃなく皆もこんな感じだったじゃない、と思ったけど当時から私たちは付き合ってると周りによく勘違いされてウンザリしてたのも同時に思い出す。
先生と結婚した時は全員にびっくりされた。
言えない恋してたから。
結果、離婚しましたけどね。
「はい、岸は十和子の隣でしょ?」と無理やり…なのか仕組まれたのか隣同士で座る事に。
皆で集まるとなるといつもお馴染みの創作居酒屋さん。
お酒、美味しいんだ。
「十和ちゃんはコレでしょ?」と先に注文してくれていたのは芋焼酎ロック。
渋いのに好きなの覚えてくれてたんだ。
この居酒屋で味を覚えました。
「ありがと」
数年ぶりにクラス全員が集まったという事で当時担任だった先生も駆けつけてくれた。
ほぼ貸し切り状態でワイワイと楽しめた同窓会。
席はたまにローテーションしたりしたけど結局また私の隣には岸くんが居て。
酔うと泣き出すクセも変わってなかった。
「グスン……俺ってそんな魅力ないかなぁ」
「出た出た、おーい、また岸が泣き出したぞ」と周りは囃し立てる。
でも手は……テーブルの下で手は掴まれてる。
ちょっと待って、離してよ。
いくら酔っ払ってるっていっても私結婚してるし周りの目も気にしなってば。
「なんで手離すの…!」
大きな声で言うんだもん。
皆にバレまくり。
1人焦る私がバカみたい。
「岸、十和子が困っとるけぇ、離したり」
「嫌じゃ…!今だけは同級生のもんじゃけぇ、ええやろ?」
トロンとした目で言われても。
いつもよりハイペースで飲んだんだろう。