狂愛の巣窟
第9章 【狂愛の巣窟ー最終章Ⅰー】
でも彼は違う。
好きになった人の息子。
ほんの火遊びのつもりだった。
愛する人の血を引いた息子だから求められたら抗えなかった。
若い時の享さんと恋愛してるみたいだった。
容姿は誰が見ても親子だとわかるほど彼らは似ている。
声や仕草もそっくりだ。
私が惹かれるのも時間を要さなかった訳で。
なんて、言い訳ばかり。
どう伝えたら泣かさずに済むの。
ううん、どんな綿密に用意した答えでも傷付ける事に変わりはない。
充分にその域に達しているのだから。
あれこれ考えていても結末は同じ。
ひっくり返らない。
「2番目で良いとか言わないで……言わせてごめん」
「じゃ、何処にも行かない?俺とずっと今の関係続けてくれる?キスは?セックスは?俺が求めても拒まない?変に距離あけられるとか嫌だ…」
まるで駄々をこねる小学生みたい。
セックスって……ストレートに表現するんだね。
回りくどくないのが彼の良いところなのかも知れない。
「ずっとって訳にはいかないよ?私だって若くないんだし」
「十和子はずっと綺麗だよ」
「陰の努力知らないでしょ?それに体力だって……性欲も」
「本当に無理な時はしない、我慢する」
「今までそれが出来てなかったのに?」
「俺も変わるよ」
真っ直ぐな瞳に打ちひしがれた。
結論付けるとすれば、私の負けだ。
勝てっこない。
こんな年下の男の子に参ってしまった。
本当どうしよう。
私も相当バカで救いようがないらしい。
「じゃ、とりあえず大学行っといで?」
「もう急いで行っても間に合わないよ、だから2限目から出る」
「もう、次からはダメだからね?」
「うん!だから、もう1回シよ?」
「はぁ?全然言ってた事と違うじゃん、変わるんでしょ?」
「うん、でも今、十和子もシたいって目したよ?」
「いや、違う違う」
そう言うのに固くなったところ触らせてくる。
全然そんな気なかったのに秒で身体を火照らせる天才ね。
反応する私も私だ。
「ほら、こんなんなったよ?十和子じゃないと俺爆発しそう」
「もう体力ないってば……」