狂愛の巣窟
第2章 【主人の会社の方と…】
「あ、そうだ十和子、今年の会社でするバーベキュー大会なんだけど」
「え?ああ、毎年恒例のですよね」
「うん、今年は結婚してる奴は夫婦で出席…てことになってさ」
「あら、私も?披露宴以来で緊張しちゃうわ」
「一緒に来てくれる?」
「皆さん同席されるのなら私も行かなきゃね?」
「ありがとう、助かるよ」
「もしかして私が断るとでも思ったの?あるわけないじゃない、夫婦なんだから」
「うん……本当は十和子を誰にも見せたくないんだけどな…皆色々聞いてくるかも知れないけどちゃんと俺が守るから」
「え、聞いてくるって何を?」
「綺麗な嫁さんだから羨ましがられてるんだ、俺はいつも鼻が高い思いさせてもらってるよ、十和子大好き」
朝の出掛ける直前のやり取りで頬にキスされた。
カバンを手渡して私からもキスをする。
勿論、口と口で濃厚に。
行ってらっしゃい、のキス。
「私こそ自慢の夫よ?なんてね」
「今夜、続きしたい」と囁かれ「今夜も…でしょ」と答える。
手を振ってお見送り。
バタバタと階段を駆け下りる音。
「朝からアツアツだね〜」と長女の有紗が冷やかしてくる。
ごめん、見られてたとは。
「でもママが綺麗なのは享パパのお陰かもね!あんな愛あるスキンシップされてたらママも美意識高まってるし〜良い事だらけだね?」
他人事のようにそう言いながら食パンをポタージュに浸してひたパンしている。
「美味っ!これ市販じゃないよね?」
「え?あぁ、じゃがいも余らしてたからポタージュにしたのよ」
「ねぇ、やっぱ料理出来る女ってモテるよね?うん、ママが良い例だ」と一人で納得している。
その時、「おはよ」と欠伸をしながら長男の一颯くんが起きてきた。
「あ、お兄ちゃん、今日から勉強教えてくんない?特に英語と数学」
「はぁ?また低い点数取ったのかよ」
「お兄ちゃん頭良いから勉強しなくて良いし暇でしょ?」
「バーカ、俺は要領良くやってんの!ん、何だコレ、美味っ!」
「でしょでしょ?じゃがいもで作ったんだって!ママ天才じゃない?毎日でも飲みたい」
2人のやり取りを食器を洗いながら見ていて笑ってしまう。