狂愛の巣窟
第4章 【意のままに踊らされて…】
クローゼットの中からアルバムを何冊か取り出しテーブルの上に広げる。
有紗の小さい時の写真と共に映っている私との写真を自慢げに見せていたのだ。
それを見た一颯くんは衝撃が走ったそう。
「え………何か有紗、若い時の十和子さんに似てきた?」
「え!そう思う?ヤッター!あんま顔知らないけど父親に似たらヤダなって思ってたんだ〜」
「有紗も父親の顔知らないの?」
「うん、知らないし別に知りたいと思わないかな……お兄ちゃんは?」
「俺も知らないけど会おうとも思わない……今が幸せならそれで良くね?」
「そうだよね」
一颯くんの手が有紗の頭に。
「お前の事は俺と親父が守ってくから」と撫でるのです。
私に似てきた有紗をそっと抱き締めるの。
動揺する有紗を宥めて「少しだけジッとしてろ」って期待させるようなセリフ。
免疫のない娘は初めて感じた男の匂いに心を奪われていく。
意識しないのは無理な状況です。
血は繋がっていない男女がひとつ屋根の下、急接近したら。
お兄ちゃんだと思おうとするたびに優しくされたらブレーキは効かなくなっていて。
その反面、一颯くんの心の中は若かった私を有紗に重ねて新たな感情が生まれていたのです。
「有紗……」
甘い声で呼んで顔をあげた有紗に唇を重ねた。
ほんの一瞬で離れたのに求めたのは有紗の方でした。
本当はずっと好きだったみたいです。
好きだからこそ素直になれなかった様で。
「お前、俺に惚れてんだろ?」
真っ赤になって頷く有紗に一颯くんはキスの続きをする。
2回目はもっと深いキス。
初めての大人のキスに戸惑うばかりの有紗を押し倒します。
「怖い?怖いならやめる」
「は……初めて、なんだけど」
「知ってるよ、俺、それ貰っていい?」
「うん……初めてはお兄ちゃんが良い」
「2人きりの時はお兄ちゃんってのやめろよ」
「え、何て呼べば…?」
「好きに呼べば?」
「えぇ………えっと、いっくん…とか?」
「じゃ、それで」
「はい……」
「何で急に敬語になるんだよ」
「だって……恥ずかしいよ」
「俺だって恥ずかしいよ、でも……有紗の初めては欲しい」