冬のニオイ
第23章 サーカス
【智side】
「そんなに櫻井さんがいいんだ。
そんなに……俺ではダメなんだ?」
「………ごめん」
謝るべきじゃないと思ったのに、気持ちに応えられないことが申し訳なくて謝罪の言葉が口から出た。
いつも優しかったこの人に、こんなにキツイことを言わせてしまってるのは、全部オイラが中途半端だったからだ。
視線を合わせられずに俯いてしまったオイラに、今度はハッキリとした溜息が降って来る。
「……どうして謝るの?
こればっかりは仕方ないよ。
俺はあなたを本気で好きだけど、あなたにとっては行きずりの相手だった。
こんなの、よくある話。
どんなに望んでも、人の気持ちは自分に都合良く変えたり出来ない」
フンッ、と投げやりに鼻で嗤う気配がする。
オイラは返事も出来ずに首をただ左右に振った。
「俺もいつまでもしつこくするのもナンだしね。
見込みがないならもう諦めないといけないんだな、と思ってさ……。
正直、今の櫻井さんが相手じゃ応援は出来ない。
あなた、絶対ツライ想いするよ。
でも智はそれでも彼がいいんだもんね。
……俺、キッパリ諦めるから、一つだけお願いがあるんだけど。
きいてくれる?」
口調が少し柔らかくなったから、顔を上げて潤を見た。
「最後にもう一度だけ、抱かせて」
潤は微笑んでいたけれど、とても哀しい表情だった。
「そんなに櫻井さんがいいんだ。
そんなに……俺ではダメなんだ?」
「………ごめん」
謝るべきじゃないと思ったのに、気持ちに応えられないことが申し訳なくて謝罪の言葉が口から出た。
いつも優しかったこの人に、こんなにキツイことを言わせてしまってるのは、全部オイラが中途半端だったからだ。
視線を合わせられずに俯いてしまったオイラに、今度はハッキリとした溜息が降って来る。
「……どうして謝るの?
こればっかりは仕方ないよ。
俺はあなたを本気で好きだけど、あなたにとっては行きずりの相手だった。
こんなの、よくある話。
どんなに望んでも、人の気持ちは自分に都合良く変えたり出来ない」
フンッ、と投げやりに鼻で嗤う気配がする。
オイラは返事も出来ずに首をただ左右に振った。
「俺もいつまでもしつこくするのもナンだしね。
見込みがないならもう諦めないといけないんだな、と思ってさ……。
正直、今の櫻井さんが相手じゃ応援は出来ない。
あなた、絶対ツライ想いするよ。
でも智はそれでも彼がいいんだもんね。
……俺、キッパリ諦めるから、一つだけお願いがあるんだけど。
きいてくれる?」
口調が少し柔らかくなったから、顔を上げて潤を見た。
「最後にもう一度だけ、抱かせて」
潤は微笑んでいたけれど、とても哀しい表情だった。