冬のニオイ
第25章 愛を歌おう
【翔side】
「翔くん。
オイラ、翔くんに謝らないといけないことがある」
「へ?」
謝らなきゃいけないのは俺の方なのに。
智君は俺の方に右手を伸ばして来て、掌を上にしたままトントンとテーブルを叩いた。
手を乗せろってこと? と思って、智君の手に自分の手を重ねて置くと、ぎゅっ、と握ってくれる。
「オイラ、翔くんを信じられなかった。
ごめんなさい」
「え?」
「あの時、翔くんはちゃんとオイラの話を聞こうとしてくれたのに、オイラは本当のことを言ってもきっと信じてもらえないと思ったんだ。
翔くんのことを信じて打ち明けることが出来なかった。
……翔くんはさ、時間がかかったとしても、正直に話せば分かってくれる人なのに。
オイラはもう絶対にダメだろう、って怖くて。
連絡が来るのを待ってることも出来なかった。
あんまりみじめで、しんどくて、自分から終わらせようとしたの。
自分のことしか考えてなかったんだよ。
翔くんだって苦しかったよね?」
「智君……」
「疑われて突き放されたと思って、辛くて自分だけ逃げだしたんだ。
でも……逆に言ったら翔くんを突き放したのはオイラの方で、信じられなかったのもオイラの方だよ。
勇気がなかったの。
だから、ごめん……」
「違うっ、違うよ、智君っ」
智君の目から、あの時と同じにポロッて涙が零れてきて、俺は慌てて首を振る。
「俺が子供だったんだよ。
貴方の話を聞こうともしないで勝手に裏切ったって決めつけて……俺が悪かったの。
沢山傷つけて……辛い思いさせて……。
ごめんね、智君……」
智君は優しい顔で俺を見て、首を振った。
「こんなに時間がたっちゃったけど……。
翔くん、オイラのこと許してくれる?」
「何言ってるの、当たり前でしょっ」
俺は握られていた智君の手を振りほどいて、彼の隣の席まで移動する。
靴のまま椅子の上で膝立ちになって、智君の頭を胸に抱いた。
「しょおく……」
智君は俺の背中を壊れ物みたいにそっと抱いてくれて。
「探してくれてっ、ありがとっ……」
涙声で精一杯嗚咽を堪えるように、言った。
「翔くん。
オイラ、翔くんに謝らないといけないことがある」
「へ?」
謝らなきゃいけないのは俺の方なのに。
智君は俺の方に右手を伸ばして来て、掌を上にしたままトントンとテーブルを叩いた。
手を乗せろってこと? と思って、智君の手に自分の手を重ねて置くと、ぎゅっ、と握ってくれる。
「オイラ、翔くんを信じられなかった。
ごめんなさい」
「え?」
「あの時、翔くんはちゃんとオイラの話を聞こうとしてくれたのに、オイラは本当のことを言ってもきっと信じてもらえないと思ったんだ。
翔くんのことを信じて打ち明けることが出来なかった。
……翔くんはさ、時間がかかったとしても、正直に話せば分かってくれる人なのに。
オイラはもう絶対にダメだろう、って怖くて。
連絡が来るのを待ってることも出来なかった。
あんまりみじめで、しんどくて、自分から終わらせようとしたの。
自分のことしか考えてなかったんだよ。
翔くんだって苦しかったよね?」
「智君……」
「疑われて突き放されたと思って、辛くて自分だけ逃げだしたんだ。
でも……逆に言ったら翔くんを突き放したのはオイラの方で、信じられなかったのもオイラの方だよ。
勇気がなかったの。
だから、ごめん……」
「違うっ、違うよ、智君っ」
智君の目から、あの時と同じにポロッて涙が零れてきて、俺は慌てて首を振る。
「俺が子供だったんだよ。
貴方の話を聞こうともしないで勝手に裏切ったって決めつけて……俺が悪かったの。
沢山傷つけて……辛い思いさせて……。
ごめんね、智君……」
智君は優しい顔で俺を見て、首を振った。
「こんなに時間がたっちゃったけど……。
翔くん、オイラのこと許してくれる?」
「何言ってるの、当たり前でしょっ」
俺は握られていた智君の手を振りほどいて、彼の隣の席まで移動する。
靴のまま椅子の上で膝立ちになって、智君の頭を胸に抱いた。
「しょおく……」
智君は俺の背中を壊れ物みたいにそっと抱いてくれて。
「探してくれてっ、ありがとっ……」
涙声で精一杯嗚咽を堪えるように、言った。