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【リレー小説】ルイーダの酒場

第22章 忍者 カズマ

ボコボコに顔を腫らしたムトは、瓦礫と化したダーマ神殿の入り口前で、体育座りをしながら落ち込んでいた。

「なんか、気の毒ね。男に戻るために来たのに、カネミツが死んじゃったために……」とレミファは、離れた場所からムトの様子を哀れに思いながら眺めていた。

「いい方向に前向きに生きていくしかしょうがないよ。てか、ムトの男の姿、見たかったけどなぁ」とヒロは言う。ヒロは男だった頃のムトを知らない。

イワハシは久しぶりにはにかむ。

「でも、今のムトはみちょぱみたいにかわいいし、このままでもいいよなぁ」

「やめてよ、おっさんの色目キモい」

レミファのキモい発言は、初対面の女性に、いきなり「近付かないで」と言われるくらいのショックを受けた。

だが、パームだけは、様子がちがった。

「なんだ、この胸にくる熱い思い……まるで孫から初めてプレゼントをもらったお爺ちゃんの気持ちくらいに激熱だ」とおかしな表現までつけるようになった。

「やつは男だ。やつは男だ。だが、唇柔らかかったなぁ。あいつ、歯を磨いてないくせに、なぜか、レモンパイの香りが……これが、キ……やめよう。俺までキモいと言われてしまう」

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