テキストサイズ

【リレー小説】ルイーダの酒場

第24章 勇者・光邦

「まったく……。あっち(惑星)にも連れていかれて、こっち(アリアハン)にも連れていかれてで。私、一体いつになったら地球に帰れるのかしら」

光邦は、あちこち振り回されたり怒ったり暴れたりで、どっと疲れが出た。

「この人、相当、弱ってそうだな」

あわれんだムトは、ホイミを唱えた。
しかし、何もおこらなかった。

「もしかして、毒をもられてるんじゃなあい?」

光邦の青い目元をじっと見つめたレミファは、キアリーを唱えようとしたが、

「お待ちなさい。毒については私、花嫁修行の通信講座で詳しく習いましたのよ。いつだって、愛しいかたの最高の妻になれますの」

自信満々に鼻を膨らます姫に、レミファは治療を譲った。

すると、

「さあ、パーム様。誰よりも美しいこの私が更に光る瞬間、網膜のすみずみまで焼きつけてくださいね」

アリアハンの姫はパームにラブビームをおくると、城中の空気を吸い込み、

「ずずずずむずぅ………ぐがゅはーっ!」

光邦めがけて毒の息を吐いた。
どろつく気体が、光邦におそいかかる。

「あら、あなたの息、オイドの臭いがするわ」

光邦は懐かしそうに鼻をくんくんさせたが、その場にいた誰もが、いつかの肛門注入治療を思いだして顔をそむけた。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ