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美しくて残酷な世界

第1章 もどかしい

「今日は何を作るの?」

「今日はね、ロールキャベツよ。拓人が好きでしょ。」

拓人さんを、呼び捨てに出来る人。

そう、この人は拓人さんの恋人だ。

「手伝ってくれる?加純ちゃん。」

「いい。自分で作れば?私じゃなくて、たっくんに食べて欲しいんでしょ?」

そう言って私はリビングに行って、テレビのチャンネルをつけた。

亜里沙さんは今頃、『クソ生意気なガキ』とでも思っているんだろう。

それも作戦の一つ。

嫌がらせして、二度とこの家に来させたくない。

拓人さんの恋人であるのは、仕方ない。

拓人さんだって、男だからね。

でも、この家には来てほしくない。

この家は、私と拓人さんの“お城”なんだから。

その時だ。拓人さんが家に帰って来た。

「ただいま。」

「おかえ……」

「お帰りさない、拓人。」

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