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美しくて残酷な世界

第1章 もどかしい

猫なで声で、わざと大きな声を出す。

しかも人の声を遮ってまで!

「今日は?ロールキャベツ?」

「そうなの。」

急に期限が良くなって、キッチンでふんふん言ってる。

ゲンキンな奴。

「ロールキャベツは、亜里沙の得意料理だもんな。」

なぬっ!

私はおもむろに振り返った。

「あっ、そうだけど……拓人も好きでしょ?」

「そうだな。亜里沙の作る料理は、何でも好きだ。」

胸がズキッとする。

今も一緒のキッチンに立って、亜里沙さんが作ったロールキャベツのスープを、拓人さんが味見している。

そんな事しなくても、コンソメの元なんだから、味はどれも一緒なのに!

でも笑顔の二人を見ていると、邪魔しているのは、私なんじゃないかって、思えてくる。

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