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美しくて残酷な世界

第1章 もどかしい

「ぁぁ、拓人、いい……」

知らない間に、涙が出ていた。

拓人さんは、所詮亜里沙さんのモノだ。

私には、拓人さんを満足させられない。

その瞬間だった。

振り返った拓人さんと、目が合ったのだ。

上半身裸で、その引き締まった筋肉質の背中。

次の日は最悪だった。

抱かれているところを見られた亜里沙さんが、どう私に接したらいいか、戸惑っているのだ。

「あの……加純ちゃん。」

「なに?」

「昨日の夜はごめんね。」

「何が?」

「変なところ見せちゃったわね。」

焦っている亜里沙さんを見て、イラついた。

「別に、付き合ってればセックスなんて、当たり前だし。」

まさか、16歳の高校生の口から、“セックス”なんて言葉聞かせられるとは思ってなかっただろう。

また唖然としている亜里沙さんを見て、心の中でざまみろと思った。


「亜里沙。ちょっと出かけないか?」

「えっ?」

拓人さんに誘われて、亜里沙さんは困っている。

「行ってくれば?私、一人で平気だし。」

「そうだ、加純ちゃんも来たら?」

「そういうの止めてよ!」

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