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美しくて残酷な世界

第1章 もどかしい

「なんで?私が結婚するまで、後何年あると思ってるの?」

「ほんの十年だろ?」

「私が、晩婚だったら?」

「それでも待つよ。」

「結婚しなかったら?」

「俺も再婚しない。」

私は拓人さんを、抱きしめた。

「嘘つき。」

「嘘じゃない。」

「亜里沙さんはどうするの?」

「亜里沙は、理解しているよ。」

嘘だ。亜里沙さんは、今にでも結婚したいって、思ってるはずなのに。

「加純。加純は俺の大事な家族だよ。それをないがしろになんて、できないよ。」

「それじゃあ、いつまで経っても、たっくんが幸せになれないよ。」

「いいんだよ。」

拓人さんは、私の顔を見つめた。

「俺結構、加純との生活、幸せだと思っているから。」

「うわあああ!」

私はバカみたいに、拓人さんの胸の中で、泣いてしまった。

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