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美しくて残酷な世界

第2章 イラダチ

「うそ。」

「本当だって。」

「じゃあ、何で会った事もない私に、会いたくなるの?」

「それは……」

私は修也君から手を放し、背中を向けた。

「加純!」

「今日は一人で帰る。」

修也君と握っていた温もりが冷たい。

いつもこう。

相手が近づいてきても、私に同情してるんじゃないかって思って、心を開けない。

中学校の時の友達は、それで全滅だった。

高校に入って、同じ中学のさっちゃんがいた時には、正直戸惑った。

でもさっちゃんは、諦めずに私に話しかけてくれた。

それで仲良くなったようなものだ。

そのさっちゃんにも、裏切られていたなら、私、誰を頼って生きていけばいいんだろう。


とぼとぼ歩いて、家に帰って来た。

多少遅く帰っても、誰も叱る人はいない。

だって、拓人さんがいないから。

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