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美しくて残酷な世界

第1章 もどかしい

それなのに私は、罪を犯している。

母の愛を裏切っているのだ。


「今日の体育、何やるのかな。」

「そうだね。先週みたいにバドミントンだといいね。」

私とさっちゃんは、教室に入った。

その時、私のスマホが鳴った。

相手は拓人さんだった。

「はい。」

『加純、おまえ弁当忘れただろ。』

「ええっ?」

『これで何回目だ。高校生になってたるんでるぞ。』

「ごめんなさーい。」

『届けに行くから、校門の前で待ってろ。』 

「うん。」

電話が切れると、私はさっちゃんに舌を出した。

「今日も上手くいったね。」

「うん。」

「まったく。わざとお弁当忘れて届けさせるなんて、悪い娘だね。」

「そんな事ないよ。」

そんな事を言っても、私ドキドキしている。

家以外でも、拓人さんに会えるなんて。

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