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美しくて残酷な世界

第5章 誰にも言えない

そして私は、翌日退院できた。

「よかった。無事に退院できて。」

結局一泊した拓人さんは、無精ひげが生えている。

それが何だか可愛くて、笑ってしまった。

「さあ、帰るか。加純。」

「うん。」

看護師さん達に挨拶をして、私と拓人さんは、車に乗った。

「これからたっくん、どうするの?」

「風呂入って、仕事に行くよ。」

「そうだよね。」

私は窓の外を見て、流れる景色を見ていた。

昨日、亜里沙さんに、拓人さんが好きだって、バラされたんだよね。

気まずい。

「昨日の夜の事、気にしなくていいから。」

拓人さんに、先手を打たれた。

「亜里沙さんとの事?」

「亜里沙の事じゃなくて……その、俺が好きだとか、言った事。」

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