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美しくて残酷な世界

第5章 誰にも言えない

それを気にするなって、それは私の台詞なのでは?

「亜里沙、被害妄想が強いんだ。だから、時々あーやって、妄想が激しい時があるから。」

胸がズキッとした。

もしかして、拓人さんを好きだって言った事、亜里沙さんの狂言だって言うの?

「俺達は、今まで通りに、親子でいればいいんだから。」

「できないよ。」

私は、この際はっきり言おうと思った。

「あれ、亜里沙さんの妄想じゃないから。」

「えっ?」

「私、拓人さんの事が好き。」

車は赤信号で停まった。

「拓人さん?」

「心の中で、ずっとそう呼んでた。」

そして車は、右方向に曲がった。

「いつから?」

「高校生になってから。」

「なんで?俺のどこが好きなの?」

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