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美しくて残酷な世界

第5章 誰にも言えない

そしてシャワーを浴びた拓人さんは、自分の部屋に行き、着替えたみたいだ。

「加純。」

ドキッとした。

いつも呼び捨てにされているのに、変なの。

「俺、仕事行くから、今日は家で大人しくしてろ。」

「うん。」

そして拓人さんは、玄関を開けて行ってしまった。

なんとなく、拓人さんの態度が、変わったような気がする。

ああ、なんであんな事、言っちゃったんだろう。

言わなければ、高校を卒業するまで、黙っておく事だってできたのに。

その時、さっちゃんから、電話が鳴った。

「さっちゃん!」

『加純?病院に入院したって聞いたよ。大丈夫?』

「うん。もう退院したから。それよりも、聞いて。」

『なに?どうしたの?』

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