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美しくて残酷な世界

第5章 誰にも言えない

「ねえ、さっちゃん。私、やっぱり家に帰ろうかな。」

「大丈夫なの?」

「大丈夫じゃない。でも、嫌われてもいいから、一緒にいたいんだ。」

「加純……」

その時だった。

玄関のベルが鳴った。

「お客様だ。どうしたんだろう、こんな時間に。」

さっちゃんが、階段まで見に行くと、笑顔で戻ってきた。

「ナイトのお出ましだよ。」

「ナイト?」

私は階段を降りて行くと、目を大きく開いた。

「加純!」

そこにいたのは、紛れもなく拓人さんだったのだ。

「どうしてここに?」

「修也君から、ここじゃないのかって、教えてもらったんだよ。」

「あいつ……」

私の味方だと思ってたのに。

口裏合わせておけばよかった。

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