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美しくて残酷な世界

第1章 もどかしい

気づけば、時間は18時になっていた。

「夕食作らないと。」

私は2階から降りて、台所に立った。

エプロンを着けて、冷蔵庫を覗く。

「あっ、ひき肉がある。それとピーマン。肉詰めにしよう。」

ピーマンの肉詰めは、母の好きな料理だった。

よく一緒にピーマンに肉を詰めていた。

あの頃が懐かしい。

肉を詰める際は、遠慮なくぎゅうぎゅうと詰める事が、ピーマンと肉が離れないコツだって、母が言っていた。

「よし。これくらいでいいかな。」

次にフライパンに油を引いて、温める。

そしてピーマンを裏返しにして、焼き始めると。

「うん。ここまではOK。」

そしてサラダを作ろうと、冷蔵庫に戻ろうとした時だ。

「熱い!」

油が手にはねた。

左手の親指と人差し指の間が痛い。

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