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美しくて残酷な世界

第1章 もどかしい

「何やってるんだ。」

隣から声が聞こえてきて、腕を引っ張られた。

「たっくん?」

「直ぐに冷やさないとダメじゃないか。」

手に冷たい水がかかる。

「いつ帰って来たの?」

「ちょうど今だよ。」

一緒に冷たい水を浴びる、拓人さんの手。

「もう大丈夫だよ。」

「大丈夫じゃない。火傷の跡が残ったらどうするんだ。」

触れ合う手に、胸がドキドキしてたまらない。

「もし、火傷の跡が残ったら、たっくんがお嫁にもらってくれる?」

その瞬間、拓人さんは手を放した。

「そういう話じゃないだろう。」

背中を向けて、リビングに行ってしまった。

上着も脱がないで、私のところに来てくれたんだ。

じーんときている間に、ピーマンを焦げ焦げに。

「あー。失敗した。」

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