
おはな畑
第1章 宇髄夫婦
「どうしたの、これ……! 買って来てくれたの?」
「ジムの帰りに寄って来た。ん、ほら」
そう言って、達弥はボンボンショコラをひとつ、私の口の中へ運ぶ。
「ん〜っ! 美味しい……! キャラメルサクレね」
「正解」
このお店を知ったのは、もう10年程前。
病院からそう遠くない所に新しくオープンしたのだと、チョコレートが好きな私のために、まだ学生だった真菰が買って来てくれた。
海外の有名ショコラトリーにも負けず劣らず、上回るくらいの美味しさに感動して、以来、一番のお気に入りショコラトリーに。
「ちょっと飲むか」
「うん」
「何がいい? ワインにするか、チョコにはウィスキーのがいいか」
「ウィスキーがいいな。明日も仕事だから、ほんの少しね」
「ん」
達弥にお酒を作ってもらい、私はチョコレートをお皿に並べてリビングへ。
