
おはな畑
第3章 Diamonds
「不安いっぱいな顔だね。工藤先生、決して安心できる状態とは言わないけど、ひなちゃんは絶対に大丈夫だって言ってたよ。強い子だからって」
「絶対なんてないですよ……」
「それをあるものにするのがいつもの悠仁でしょ。"絶対大丈夫"とか"絶対治る"とか、この世の医者で悠仁が1番言ってると思うけど。その悠仁が不安になるのは、自分が執刀してないから? 工藤先生と親父さんの腕が信じられない?」
「そんなことないです。工藤先生の腕は俺なんかよりずっと確かです。親父だってあんなんですけど、心臓を切らせれば右に出る者はいません。急な事態で2人にオペをしてもらえたのは、不幸中の幸いどころか、本当に奇跡です……」
「そう思ってるなら、悠仁がすべきは不安になることじゃないでしょ。ひなちゃんに伝わっちゃうよ?」
そう言って、藤堂先生はひなの手を握る俺の手元に視線を落とす。
