
おはな畑
第3章 Diamonds
「医者が最善を尽くした。全て完璧な処置だった。それでも患者は目を覚まさない。そんな時、俺たち医者はどうする? 何をするの?」
「何をって……」
「患者の力を信じることだよね。ひなちゃんは今一生懸命頑張ってるの。なのに悠仁が不安でいると、ひなちゃんも不安なっちゃうでしょ」
「もちろんひなを信じてます。でもやっぱり……」
「難しいのはわかる。大切な人が目を覚まさなくて、不安になるのは当たり前。だから不安な気持ちを0にしろとは言わない。でもね、悠仁。こんな時こそ、悠仁が気丈にしてないと。絶対に大丈夫だって、ひなちゃん信じて励ましてあげないと。1番そばにいるんだから」
ぽんっと、藤堂先生の手が背中に添えられる。
「はい……」
相変わらず力無い返事。
「うん」
そんな俺に、藤堂先生は力強く微笑んでくれる。
