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君と共依存

第2章 chapter1

14歳の時に家出した私が選べる職業なんて、この仕事しかなかった。
当たり前だけど義務教育も終えず、資格もない若さしか取り柄のない女なんて、夜の町の食い物になるしか選択肢なんてない。
コンビニで働くにも、どっかでバイトするにも、残念ながら住むところもなければ、この国でまともに働いたりはできないのだ。

ふらふらと歓楽街を歩く私に声をかけたのは、風俗のスカウトだった。
そのスカウトはファミレスに連れて行ってくれて、そしてお腹をすかせた私に暖かいご飯を食べさせてくれた。
それが彼らの仕事であり、風俗で働かせる手口だったりもする。
でも家出して頼るところがなく心細い私にとっては、それはとても親切でありがたい行為にしか思えなかった。
例え14歳でも、体を売る事はできるが、まぁいわゆる非合法な店で私はまず働いた。
別にあの地獄の様な家に戻る生活より、自分で稼ぎ自分で好きなものを食べられる生活は、まるで天国の様に思える。
こんな不幸な人間私くらいだと思っていたけど、この町には同じ様な境遇のひとたちが、ゴロゴロと溢れていた。
そしてそんな町に棲みついて、気が付けばもう既に6年の月日が経過している。
棲めば都、その言葉がぴったりだなと思った。
たまに暴力的な客がついてトラブルになったり、不況で風俗であんまり稼げなる時期があったり、浮き沈みは激しい町ではある。
そして太い客には、裏を持ちかけ店もそれを黙認してくれていた。
いわゆる、パパ活って奴だ。
正直それだと本番アリになるけれど、一回の稼ぐ額が段違いに違う。
風俗とパパ活を兼ねながら、この町の1LDKのそこそこの部屋を借りて、私は日々なんとか生活している。

私の店での名前はヒカル。
いわゆる源氏名で、あまり呼ばれる事はないけれど、ちゃんと本名がある。
私の名前は、葉山光希(はやまみつき)。
この町で働く、際立って美人でもないが顔もスタイルも悪くない、この町でよくいるタイプの女。
それがわたし。

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