このインモラルで狂った愛を〜私と貴方の愛の手記〜
第4章 予期せぬ婚約
──────
────
「リディ、ダンスはもういいのかい?」
「ええ、少し休憩がしたくて……。お兄様こそ、踊りに行かなくてよろしいの?」
「ああ、今日はリディの付き添いだからね」
「そんなこと……。お兄様と踊りたがっている御令嬢だって、沢山いらっしゃると思うわ」
「そんなことはないさ」
兄はそう言うけれど、先程からチラチラとこちらの様子を伺っている御令嬢達が何人もいる。きっと、この機会に兄との交流を深めたいのに違いない。
けれど、私を気遣ってか側を離れようとしない兄に、皆話しかけるタイミングを失っているのだ。
「お兄様、私に気遣ってくれなくても大丈夫ですわ。気になる方がいらっしゃれば、どうぞダンスにお誘いになって」
「リディ……。そんなに俺がいると、邪魔なのかな?」
「──!? いいえ、そういう意味では……っ!」
慌てる私を見てクスリと微笑んだ兄は、私の髪飾りに手を触れるとそれを直した。
「今日は、いつにもまして美しいよ。こんなに綺麗なリディをエスコートできるだなんて、とても光栄だ」
そんな歯の浮くような台詞をサラリと言ってのけた兄に照れると、私はほんのりと赤く染まった頬を隠すかのようにして俯いた。
妹を気遣っての言葉とは分かってはいても、やはり褒め言葉を言われれば嬉しくないわけがない。そんな気遣いができる兄のことだから、御令嬢から人気があるのも納得というものだ。
────
「リディ、ダンスはもういいのかい?」
「ええ、少し休憩がしたくて……。お兄様こそ、踊りに行かなくてよろしいの?」
「ああ、今日はリディの付き添いだからね」
「そんなこと……。お兄様と踊りたがっている御令嬢だって、沢山いらっしゃると思うわ」
「そんなことはないさ」
兄はそう言うけれど、先程からチラチラとこちらの様子を伺っている御令嬢達が何人もいる。きっと、この機会に兄との交流を深めたいのに違いない。
けれど、私を気遣ってか側を離れようとしない兄に、皆話しかけるタイミングを失っているのだ。
「お兄様、私に気遣ってくれなくても大丈夫ですわ。気になる方がいらっしゃれば、どうぞダンスにお誘いになって」
「リディ……。そんなに俺がいると、邪魔なのかな?」
「──!? いいえ、そういう意味では……っ!」
慌てる私を見てクスリと微笑んだ兄は、私の髪飾りに手を触れるとそれを直した。
「今日は、いつにもまして美しいよ。こんなに綺麗なリディをエスコートできるだなんて、とても光栄だ」
そんな歯の浮くような台詞をサラリと言ってのけた兄に照れると、私はほんのりと赤く染まった頬を隠すかのようにして俯いた。
妹を気遣っての言葉とは分かってはいても、やはり褒め言葉を言われれば嬉しくないわけがない。そんな気遣いができる兄のことだから、御令嬢から人気があるのも納得というものだ。