このインモラルで狂った愛を〜私と貴方の愛の手記〜
第4章 予期せぬ婚約
※※※
──あれから数日が経ったある日のこと。
穏やかな午後を知らせるコマドリの囀《さえず》りが聞こえる中、私は父に呼ばれて執務室へと来ていた。
「リディアナ、見てみなさい。お前にこんなに沢山の婚約の申し入れが来ているぞ。流石は私の自慢の娘だ。……さっそく、今から検討してお前の嫁ぎ先を決めようと思う」
私に向けて満足気にそう告げた父は、机に並べられたいくつもの封筒を見て嬉しそうに微笑んだ。
「──!? そんな……っ! まだ早すぎますわ、お父様!」
「何を言っているんだ。あと一ヶ月もすれば、お前も十六を迎える。早いことなんてないだろう」
「でも……っ!」
「なに、心配することはない。ちゃんとお前が幸せになれる相手を選ぶから安心しなさい」
私を見て優しく微笑んだ父は、手元の封筒に視線を落とすとそれを開封し始める。次々と封の切られてゆく封筒を見つめながら、私は愕然とすると小さく身体を震わせた。
私より十も年上の兄に未だ婚約者がいないことから、どこか自分の婚約はまだ数年先であろうと、私はおぼろげながらにそんな考えを抱いていた。けれど、その考えは間違っていたのだ。
──あれから数日が経ったある日のこと。
穏やかな午後を知らせるコマドリの囀《さえず》りが聞こえる中、私は父に呼ばれて執務室へと来ていた。
「リディアナ、見てみなさい。お前にこんなに沢山の婚約の申し入れが来ているぞ。流石は私の自慢の娘だ。……さっそく、今から検討してお前の嫁ぎ先を決めようと思う」
私に向けて満足気にそう告げた父は、机に並べられたいくつもの封筒を見て嬉しそうに微笑んだ。
「──!? そんな……っ! まだ早すぎますわ、お父様!」
「何を言っているんだ。あと一ヶ月もすれば、お前も十六を迎える。早いことなんてないだろう」
「でも……っ!」
「なに、心配することはない。ちゃんとお前が幸せになれる相手を選ぶから安心しなさい」
私を見て優しく微笑んだ父は、手元の封筒に視線を落とすとそれを開封し始める。次々と封の切られてゆく封筒を見つめながら、私は愕然とすると小さく身体を震わせた。
私より十も年上の兄に未だ婚約者がいないことから、どこか自分の婚約はまだ数年先であろうと、私はおぼろげながらにそんな考えを抱いていた。けれど、その考えは間違っていたのだ。