
エッチな女子高生は年上がお好き
第3章 古の恋
少し、ぼんやりしてしまう時間が増えた。
僕はこんな年になって、恋を?
コーヒーを淹れて、ソファに腰掛ける。面白そうなテレビ番組もなく、CDをかけることにした。
アメリカのジャズシンガーの声が部屋に満ちて、体から疲れがスッと抜けるような感覚がする。
チラチラとよぎるのは、春奈という女性の顔で、僕は彼女に出会ってから、少し浮かれている。
男とは馬鹿な生き物で、思い返せば思い返すほど、彼女は僕に気があるのではないか、と思えてくる。でも、僕が床にCDとレシートをぶちまけてライブの鑑賞を邪魔して、イベント中と帰りの駅までの数分に、当たり障りのない会話をしただけ。
気があるもなにも、現実的に考えれば、彼女は僕のことを忘れていたっておかしくない。
今まで何度かライブハウスやイベントで、友人ができたことがある。長い付き合いに発展した人も、一度会っただけで、全く顔も覚えていないような人もいる。
僕にとって前者であると思った彼女も、彼女にとって僕は後者である可能性だって高い。
ネガティブで自信のないただのおじさんだ。僕は少し惨めだ。
