
ほしとたいようの診察室
第6章 回想、はじめまして
「のんちゃんが、ゆうせんせ……きらいって……いったから……?」
のんちゃんは、この一瞬で、自分のせいだと思い込んでいた。
「ちがうよ。のんちゃん。優先生、また会いに来てくれるからね。寝る前の絵本は少し我慢してねって言ってたよ」
そう言って宥めてみるけれども、溢れ出した涙と感情は、止まらないようだった。
「のんちゃん、ゆうせんせに、せんたくのえほん、よんでほしいの……ちっくんもがんばる、おくすりもちゃんとのむ。もうきらいっていわないから、ゆうせんせ……」
そこまで言うと、のんちゃんはわっと泣き出してしまった。
「ゆうせんせ………!!」
泣き出したのんちゃんの頭を撫でながら、気がついた。
のんちゃんが描いていた絵は、どうやら優先生にあげようとしていたものだと。
クレヨンで書いた文字は、「ゆーせんせい」だった。
「のんちゃん……優先生が、大好きなんだね」
のんちゃんは大泣きしながら、その言葉にだけは頷く。
ほとんど毎日会って、もう半年以上の時間を共にしてきた優先生とのんちゃんだから。
……だからこそ、ちゃんと引き継がなくちゃと思った。
