
ほしとたいようの診察室
第7章 回想、主治医の苦悩
吸引器のセットを準備していると、のんちゃんにはこれから何が起こるのかわかってしまったようだ。
布団に潜り込む。
「のんちゃん、胸の音聞くから、ちょっとごめんね」
「だめ!」
布団を引き剥がすと、丸まったのんちゃんが、既にうるうると涙を流していた。
「だめじゃないよ、もしもしさせて。ね?」
背中側からそっと肺の音を聴く。
思った通り。喘息で痰が絡まる音が、酷く大きく聞こえた。
「のんちゃん、ちょっと喉のお掃除しようかな」
「やんない」
……そして予想通り、拒否を見せる。
「怖い?」
のんちゃんの顔を覗き込むと、
「いやだもん……くるしいから」
と返ってきた。
